「Rs' Ink.」が主催しただけでなく、お手伝いした、場づくりについて。

クラウニングや農業体験など。

CLOWNING

クラウンまりちゃん(金本麻理子さん)の率いるクラウンワン・ジャパンのクラウンアンバサダーチームとたびたびご一緒させていただいています。2016年10月10日に開設されたマギーズ東京のオープニングデイのイベントでご一緒させていただいたのがはじまりです。

 

まりちゃんは、ホスピタル・クラウンの生みの親で、ロビン・ウィリアムス主演で映画にもなった、アメリカの医師パッチ・アダムスとクラウニングをしてきた方です。

 

「クラウンワン・ジャパン」はパッチのクラウンチーム「クラウンワン」の日本支部に当たります。クラウンワン・ジャパンは日本国内の高齢者施設や障碍者施設でのクラウニングをメインにクラウニング活動をしています。

  

 

クラウニングとはよりそうこと。「いまここ」に共にいて「いまここ」を満たすことだと理解しています。

 

現代の日本社会は良くも悪くも目標達成型の生き方や有り方に重い価値を置きがちです。それは「いまここ」の意味を未来に向けて前進することに置く価値観の現れです。しかし、反面、それは「いまここ」の時間を未来のために犠牲に捧げることにもなりかねません。

 

クラウニングの「いまここ」に寄り添う生き方は、非効率的に見えるかもしれません。でも、「いまここ」を共に過ごすことで生みだせる価値もあるはずだと考えています。

「Rs'Ink.」は「いまここ」に生きる人の「いまここ」の「ink」(時間)に与ることを目的としています。わたしたちがクラウニングから学べることが非常に大きいと思います。

 

よりそうことは病気の方だけではありません。孤独な人、疲れている人、悲しみにくれる人、すべての人にクラウンは必要な存在です。

 

2017年4月2日に上野桜木の桜縁荘を借りてお花見クラウニングをしましたが、日本に暮らす難民を支援する活動をしている「WELgee」さんとご一緒して、難民の方にもたくさん来ていただきました。母国を追われ見知らぬ土地で孤独に暮らす難民の方に「いまここ」の喜びを届けることができたら望外の幸せです。

 

このような活動をも続けていきたいと考えています。

農業体験

いつか病気の経験をした人向けに農業体験のコンテンツを提供できないだろうかと考えています。土に触れて作物を育てる営みは心身の状態にシンプルによい影響を与えることができますし、そして、今日撒いた種が、今日植えた苗が、数か月後に収穫できるようになると思えば、生きる目標や楽しみにもなるのではないかと思うので。

 

 

さらに、自分たちで作物を栽培して収穫するだけではなくて、地元の農家さんと提携して、その地域の人たちと関わりながら、地域づくりの一環として農業体験ができるようにしてみたら、どうでしょうか。

 

地域のお年寄りや子どもたちと共に作ったり、共に収穫して、共に食べたり、そこから地域のお祭りなどに関わったり。

 

 収穫した作物を販売して収益を上げ、その収益のなかから支援団体へと寄付をするというようなサイクルまでつくることができたら理想的です。

 

 

現在の日本社会では病と闘いながらキャリアを継続できる環境は非常に限られてしまいます。ほとんどの「AYA世代」(「Adolescent and Young Adult」のことで10代~30代の思春期および若年成人の世代)や子育て世代にとって大きな病気の経験はキャリアの断絶を意味します。

 

病気をすることで人はいままで暮らしていた社会から自分が零れ落ちていく感覚を覚えます。その孤立感や無力感はたいへん苦しいものです。生きていくために必要な尊厳や自己効力感まで失ってしまうほどの。

 

たとえば、地域の人と共に農作業をすることで、地域の仕事に関わることで、いちど失った居場所や自信を取り戻す場を提供することはできないでしょうか。病気になっても、人の力になれる、人に貢献できる場所がここにあるという心身のセーフティネットをつくることにはならないでしょうか。

 

もちろん、病気をした人には純粋な肉体労働には制限もあるかもしれません。でも、マネジメントには力は発揮できる可能性はありますし、地域に欠けているのはマネジメントの力だったりするわけです。

 

学生時代の部活やサークルのように、先輩サバイバーが地域で働ける場を開拓して、後輩サバイバーに活躍するステージを用意する。そのようなサイクルを循環させることができれば、世の中はもっと生きやすくなると思うのです。

 

 

ただ支援を受けるだけの存在から価値を生みだしていくチャレンジャーへ。ケアの消費者から仕事の生産者へ。病気を経験した人にこそ必要なのは、挑戦する場所なのではないかと考えています。

21世紀の医療・介護の枠組みとして「地域包括ケア」という言葉が使われるようになりました。病気経験者の社会復帰のプロセスに社会参加のチャレンジが効果的なのではないかというアイディアは、全国的にも地域包括ケアで先進的な取り組みをしていると言われる埼玉県幸手市・杉戸町(しあわせすぎ)エリアでの取り組みにヒントを得たものです。

 

「ケア」は医療・介護の業界だけで完結するものではなく、その地域に生きる人・暮らす人・働く人すべてのつながりがあってはじめて機能する。そういう理念が「しあわせすぎ」の方々には息づいています。

 

「しあわせすぎ」で得たご縁で、幸手の農家さんに農作業体験やバーベキューを楽しむツアーを企画したことがあります。今後も何かの形で展開できることを模索してます。