R-TALK

「逆境の達人」に折れない心や逆転の思考法を学ぶ対話の場

「R」の名前を冠した「Rs'Ink.」にとって象徴的なワークショップです。

 

「病気」の経験をした人をゲストにお越しいただいて、そのお話に耳に傾け、学びをいただく場です。が、参加者には、医療関係者や患者といった同じ「業界」の人に限らず、病気に縁のない健康な人にも来て学んでいただける場としてデザインしました。

 

逆境に強いしなやかで折れない心のあり方

ピンチをチャンスにする逆転の思考法

思いがけない変化に対応する柔軟性

困難を克服して成長経験へとつなげるモチベーション

 

病気の経験を乗り越えてきた人の話から得られる知恵は、きっと健康な人にとっても価値のあるものだと信じています。

 

 

 

だから、「患者」ではなくて「逆境の達人」なのです。

 

病気の経験者を「患者」と呼んでしまえばケアや支援が必要な存在、弱い存在という文脈に依ってしまいます。でも、そうではなくて、「逆境の達人」として見れば、逆境を乗り越えた経験とノウハウをもつ偉大な先輩として接することができるはずです。

 

かつてブラジルの教育者パウロ・フレイレは「農民」たちを「被抑圧者」と名づけなおしました。フレイレの名づけなおしには《君たちは無知で愚かな貧しい「農民」ではない。学びと成長の機会を奪われた「被抑圧者」なのだ。だから、誇りと尊厳をもって生きていいんだ》という強いメッセージがこめられています。

 

フレイレの名づけなおしの技は「name the world」と呼ばれて教育の世界ではよく知られています。「R-TALK」はフレイレへのオマージュから生まれたワークショップです。

ワークショップは前後半の二部構成で行いました。

 

前半はゲストに来ていただいた達人に、どうやって病とともに生きているのか、その経験やスキルについてお話ししていただきます。第1回はゲストに1型糖尿病患者ののっちさんに来ていただきました。のっちさんは患者でありながらトライアスロンにも出てしまうセルフマネジメントの達人です。その達人のわざの秘訣について教えていただきました。

 

後半はゲストの話を聞いて感じたことや考えたことをテーマに参加者どうしで対話してもらうスタイルで進めます。同じ話を聞いていても、参加者それぞれに響くポイントや刺さるポイントが違うので、第1回では、その違いを活かせるようにガチャトークのスタイルでアレンジしました。

 

今後はゲストへのインタビューを洗練させて「逆境の秘訣」を理論的に抽出可能にできるように工夫していきます。

SHOKUBA Design Lab.

「R-TALK」の考え方を組織開発に展開できないかと考えてデザインしたのが「SHOKUBA Design Lab.」です。

 

「SHOKUBA Design Lab」では「就業規則」に注目してワークショップをデザインしてみました。「労働基準法第89条」には「常時十人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則を定めて監督官庁に提出することが義務付けられています。そして、就業規則に定めるべき事項は「就業時間」「賃金」「退職(解雇)」「安全及び衛生」「職業訓練」「傷病扶助(休職)」など多岐にわたります。

 

就業規則は働く人の働き方を決定する強力なルールです。であるにもかかわらず、自分の職場の就業規則を読んだことがある人は、おそらくごくわずか。まったく関心をもたれていない存在でもあります。

 

でも、たとえば、就業規則に「病気休職」の定めのない職場では、たとえ重い病気になったとしても休職が認められない可能性があります。問題なく働けている間は気にもならないかもしれませんが「いざ」というときに就業規則は無視できない力を発揮します。

 

就業規則に興味関心がない人が多いのは健康に働けている人がほとんどだからです。でも、そうでない人にとっては、そうでなくなったときには、どうでしょうか。実にワークショップに適しているテーマなのです。

就業規則のデザインは職場のデザインです。よりよい就業規則を作ることはより働きやすい環境を整えることでもあるのです。

 

「SHOKUBA Design Lab」では、実際に就業規則を作ってみるワークを通して、いままでの働き方、今後どうやったら望ましく働けるのかなど、働くことについて新たな視点を発見することを目的とします。

 

そして、「いざ」に備えるためのものという就業規則の特質に焦点を当てるために、「いざ」という修羅場を経験してきた方、名づけて「職場マイノリティ」の方から経験談のシェアをいただくことをデザインに取りいれています。

 

 

職場マイノリティの皆さんは普通の人とは同じように働くことができないかもしれません。だからこそ、その視点から考えてみることが、誰にとっても働きやすい職場環境をデザインするための大きな財産になると考えています。

 

病気休職を余儀なくされた方、介護をしている方、子育てをしている方、LGBT、職場で働くマイノリティを数えれば多種多様に存在します。

 

当事者として乳がんを経験してきたサバイバーの女性「めぐねえ」さんをお招きしました。めぐねえさんの体験談を伺ったうえで、テーマを「休職」に設定して、「誰にとっても働きやすい就業規則」の「休職規定」を作ってみるワークショップを実施しました。